ソフトウェアは今世紀を担う基幹産業。それはだれもが確信するところでしょうが、一方で最近の業界は大きな転機にあるようですね。- 嶋田
いよいよ、脱皮の時期がきたというのが、私の実感です。むしろ遅すぎたように思います。仕事は次々に膨らむ、それにあわせて際限なく増員する。いってみれば、単なるマンパワーの切り売りが、多くのソフト会社であまりに長くつづけられてきた。環境や技術が変化した現在でもこの体質から脱しきれていません。
そんななかで、こちらの「研究開発」志向は、あえて時流に逆らってこられたようにも見えます。-
嶋田
流れに逆らうというより、ソフトウェアの本質と社会的責任を考えるとき、私たちは何をすべきか、何を提供すべきかということなんです。これまでのソフト開発の大部分は、すでに完成した技術の応用の域を出ない。先行投資は不要、リスクもない。収益もまずまずです。ただ将来を見わたすと、それだけでいいとは、とても思えない。
ソフトウェア産業の基盤は本質的に技術。ひとときも勉強や投資は怠れないはずです。さらに高度なもの、未知なもの、より創造的なものに挑戦していかなければならない。既存技術の枠内だけに終始していたのでは、とても発展や成長など望めません。私たちが「研究開発」を強く志向してきた理由もここにあります 。
ソフトでも主流は、やはり事務計算系のニーズ。マーケットもはるかに大きい。それなのに技術計算系のフィールドを志向していらっしゃる。-
嶋田
より深く、専門的なものが求められる。これは進歩の証しみたいなもので、すべてに共通な傾向です。当然ソフトもこの例外ではありえない。むしろ本当は最も要求が強いジャンルといってもいいと思います。
科学技術系、なかでも通信、ネットワーク、宇宙、医療、科学技術計算などに分野を絞り込む。そのぶん深く、先端をめざす。これが私たちの基本方針です。
ISPのクライアントは、研究所など新技術や新商品の開発部門が中心。技術的にも文字どおり最先端、新たな研究テーマも豊富です。着手して発表に至るまで4年や5年かかることも、まれではありません。今の主力分野の多くは創業の頃から手がけてきたものです。私たちの場合、深く専門化しなければ、とても仕事ができない。デパートのように、なんでも売りますというわけにはいきません(笑)
無線系高速通信システム、医療でのクリティカルケアシステム、あるいは宇宙開発分野での一連の研究開発など、どのテーマをみても、そうした方針が実際の業務に反映していることがよくわかります。システム計画研究所が業界で「採算よりも仕事を選ぶ」ユニークな存在といわれるわけもうなずけますね。- 嶋田
採算を軽視するとか、むやみに選り好みするとかいうのではなく、次の飛躍のために、挑戦すべき要素をもった仕事をしたいということです。何より仕事には「こだわり」を持ち続けたいですね。この組織、ここにいる技術者の将来を考えたら、これは当然のことです。
自社プロダクツの研究開発も精力的に進めておられるとか。- 嶋田
現在は医療分野でのプロダクツ開発に注力しており、すでに一部はリリースされています。通信、ネットワークをはじめとする主力分野でのプロダクツ開発は、蓄積技術を生かし、さらに発展させていくためにも、これから積極的に推進したいと考えています。
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嶋田
仕事は決して楽じゃない。だからこそ、面白くなければいけないと思うんです。新しい何かを考える、生む。そして創る。機械には到底できないこと、「ひと」だからこそできることを鮮明に志向すべきです。決して技術者をロボットにしてはいけない。
そうした道を歩む企業では、人材という言葉の意味もずいぶん違うと思いますが。-
嶋田
企業のもつ技術。それはほかでもない、そこにいる「ひと」が担っているという単純な事実を、改めて認識すべきでしょう。技術者には、その英知を伸ばす「場」、能力を思いきり発揮できる「場」が何より必要です。こうした「場」をいかにしてつくるか。私たちの努力はこれにつきますね。
それにもうひとつ。じっくり時間をかけること。長いスパンでものを考える必要があります。その意味で最大の投資は「時間」といってもいい。技術者はトマトのように促成栽培することはできません。もちろん大量生産も不可能です。やりがいのあるテーマ、しっかりと自分を温める時間。それでこそ技術者は育つし、力もつく。
技術者を育成する「場」の形成は、企業風土と密接な関連があるのではないでしょうか。-
嶋田
自律性と創造力は本来的に一体のものです。一人ひとりの「個」を存分に引き出せるような企業風土がどうしても必要となる。それが、つまり私たちのいう「場」にほかならない。たとえば、創業来のフレックスタイム。仕事に集中できる時間は人によって違う。それが当然ですし、この仕事では特にしっくりいくようです。
実務のほかに、自分のテーマをもつ。こうした「自由研究」もすべて業務扱い。若い所員が学会で発表したり、市販書を出版するのをみていると、本当に楽しいですね。
個を伸ばす環境とは、まず個が個でいられる環境だと思うんです。そうでなければ、「ひと」は活きない。
新卒の採用条件には、いよいよ興味がわきます。-
嶋田
「多くを採用しない」ということをポリシーとしています。本当の意味で育てるためには、できる限り少ないほうがいい。
私たち自身、技術の最先端を修得し、創造していかなければならない。そうしますと、教育に割けるエネルギーはおのずと限られてくる。業務の性格や内容によることは当然ですが、理工系の学生だけを採用してきたのも、このためです。何よりも「ものづくり」のマインドを自然に共有できることがいいですね。
それに打ち込めるスポーツや趣味があると素晴らしい。人にはゆとりが欲しい。意外でしょうが、この仕事には遊び心が不可欠なんです。
システム計画研究所の近未来、これについて最後にひとこと。-
嶋田
この組織は、まだまだ未完成です。やりたいこと、やらなくてはならないことが、たくさんある。一方では現実の問題として、私たちの仕事へのニーズは、確実に大きくなってきている。これからが、いよいよ本番というのが実感ですね。










